記憶の文化を育む 第7回
2020年12月26日(土) 開催報告
記憶 ー 共に生きる未来のために
ドイツ人にとっての「被害」の語りから考える
第二次大戦末期、ドイツ東部や東欧の地域から、そこに暮らすドイツ系住民が強制的に移住させられました。その中で約200万人のドイツ人が死亡しました。最終回はこの「追放」の歴史について東京大学准教授の川喜田敦子さんにご講演いただきました。自国の「加害」に向き合ってきたドイツで、「被害」はどのように語られてきたのか、現在の難民問題等とどのように位置づけられているのか解説していただきました。
参加者アンケートより
川喜田先生の講演は大変分かりやすくて勉強になりました。「記憶の文化を育む」オンライン講座シリーズで、いろんな側面からドイツの過去の記憶との対話を学ぶことができました。これからも続けてください。ありがとうございました。(50代)
非常にわかりやすく、興味深かったです。特に、加害の歴史が強調されやすい中、被害の歴史をあえて考えることに意味があると思いました。ドイツと日本の違いがなにかということを考えながら聞いていました。特に、教科書は、ぜひ調べてみたいと思いました。(20代)
事前に川喜田先生のご著書も読み、準備して参加しましたが、予想を上回る内容で、とても勉強になりました。川喜田先生のパワーポイントや地図を見せて下さっての説明もわかりやすかったです。特に、追放、移住というのが長いスパンに渡っていることのご指摘。また、ユダヤ人の移住計画からのホロコースト、ということを初めて知りました。少しわかりにくかったのが「ヨーロッパ全体としての歴史感」というところです。「国」という単位で考える習慣が、どうしても日本人としては出てきてしまい、「EU」を感覚的に理解するのが難しいです。今後の自分の課題としたいと思っています。(40代)
川喜田先生のお話しは明解且つ明快で非常に解りやすかった。(60代)
自国の「加害」の事実を知り、認めて、はじめて「被害」の事実もきちんと調査し対処すべき、ということがよく理解できたと思います。(70代)
貴重なお話しをオンラインで聴けるのは、とても良い経験でした。今、このような時代だからこそ、歴史について改めて問い直し、未来を考えるというのはとても重要なことだと思いました。このテーマでのオンライン講演が、今回のシリーズのみならず、今後も続いていってほしいと思いました。(20代)
パネリストが途中から増えたり減ったり、参加者がさまざまな国に住んでいたり、オンラインならではの素晴らしい講演でした。後半に川喜田先生のお話があまり伺えなかったのが残念でした。背景知識が希薄でも理解できるような、わかりやすいご説明で、とても勉強になりました。(20代)
ドイツの歴史というと、まず加害としての戦争責任を考えがちですが、「追放」という被害の歴史に焦点を当てたお話に大変興味を持ちました。また独ー波の共通歴史教科書の取り組みについても、以前、岡先生のご著書を紹介していただいき、拝見していたので、今回は実際に地図や教科書のコメントを紹介していただき、とても分かりやすかったです。なによりも川喜田先生のお話が魅力的で、複雑な歴史を整然と明快に伝えていただき、感動しました。ありがとうございます。(50代)
川喜多先生のお話、明快で、とても分かりやすく、歴史学の実証研究の成果に圧倒されました。「追放」のなかで性被害にあった女性の問題などについても、お聞きしたいです。満蒙開拓平和記念館が招待された「追放」の経験者の方のお話、交流の様子などもおうかがいできたことも大変興味深かったです。いろいろな活動をされている方達と繋がっていらっしゃる石岡さんがコーディネイトされたからならではですね。「記憶の文化を育む」7回すべてに参加させていただきましたが、どれも示唆に富んでいて、大変勉強になりました。毎回参加される若い人たちが増えてきているようで、それも大きな希望ですね。ドイツ政府の支援はこれで終わるのかもしれませんが、今後も回数を減らしてでも、オンライン講座を続けていただけたら有難いです。石岡さん、お疲れさまでした。大きな拍手を送らせていただきます。(60代)
『追放』について、日本ではあまり知られていません。ドイツがそれを現在の問題としてとらえかえしているの知り感動しました。満蒙開拓記念館に最近訪ねたばかりということもあり、その問題を私たちがどう考えるのかということも併せて考えさせられました。とても良い企画でした。(60代)
ドイツ・ポーランドの歴史教科書対話の中で問題だったのはドイツ側の被害だったというのはなるほどと思いました。同時にポーランド側はどう加害に向き合うのかを突き付けられたということでもあるのですね。1時間があっという間でした。歴史にどう向き合うか、考えさせられる貴重な時間でした。ありがとうございました。(50代)
多くのことを学ばせていただきました。記憶をつなげていくためのツールとしての教科書を活用する教員の力量をどう高めていくかも考えていきたいと思います。(30代)
オンラインの講座は、途中で集中力が途切れることが多く、いつも1.5ページほどしかノートを取らないのですが、今回はとても講演内容が分かりやすく終始手を動かして、4ページ分もノートを取りました。とても興味深かったです。ありがとうございました。(20代)
国際教科書対話の背景を知り、ヨーロッパの長い歴史の中での「追放」の捉え方に歴史を学ぶ意味を思いました。特にドイツ=フランス、ドイツ=ポーランドの比較に加害を語ることの難しさを再認識しました。大事なことだからこそと。未来を描くために歴史を学ぶ。私たちが先の大戦により失くしたものは大きかったと思いますが、そこから学ぶこともたくさんあると気づきます。アジアの歴史も長い流れの中で捉えていくことで私なりの未来を描くことができるだろうと感じました。そして、「追放」といっても個々人の背景や文脈が違うという点に、「わかったつもりにならない」で当事者の声に耳を傾けつつ、構造的に何があったかを知ることを怠ってはならないと肝に銘じました。等しく、現在起きている難民の問題にも置き換えられると。現代の平和学では、「平和」とは単なる「戦争の不存在」ではなく、「暴力の不存在」を定義し、「暴力」とは「人間能力の全面開花を阻害する原因」(飢餓・貧困・社会的差別・人権抑圧・環境破壊・医療や教育や福祉の遅れなど)を意味していると聞きます。悲しい出来事はなくならないけれど、各国、各時代の歴史を学ぶことで平和な社会をつくるために奔走し抗ってきた方たちのことも知ることができ、私は勇気と希望を受け取ることができました。そして、私たち一人ひとりにできることは、まだまだたくさんあることにも気づかされました。今回の「記憶の文化を育む」シリーズから多様な手掛かりを与えていただきました。助成金の申請、企画や準備、運営にはたくさんのご苦労があったかと思います。このような機会をつくっていただいことに心から感謝を申し上げます。そしてこれからも学ばせていただきたいと思います。新しい年がスタッフ皆様にとりましてよき年になりますように。よい年をお迎えください。(50代)
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