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石岡史子

進化する「記憶のカタチ」

もし第二次世界大戦の時にインスタがあったら。。。

ホロコーストで犠牲となった実在の少女がスマホを手にして、アウシュヴィッツに送られるまでの日々を投稿する。そんな設定のアカウントが作られて話題を呼んでいました。

イスラエルの親子が私財を投じて企画したプロジェクトで、今の若者を意識して、「セルフィ―(自撮り)目線」で歴史を伝える新しい試みです。

1日の再生回数は1億回を超えたそう。

モデルになったのは、ハンガリー生まれの少女エヴァ・ハイマン。13歳でアウシュヴィッツで殺されました。(エヴァの日記は『子どもたちのホロコースト』(小学館刊)で日本語にも訳されています。)

エヴァの目に映ったホロコーストが、ハッシュタグや絵文字の載った映像で再現されることに抵抗を感じる声もあったそうですが、SNSの可能性も感じられました。

AIの技術を用いた記憶の保存・伝達の試みも数年前から始まっています。

映画監督のスピルバーグが設立したショア財団では5万人以上のホロコースト生還者の証言をこれまで集めてきました。

ホログラムで生還者の姿を立体的に映し出し、まるで目の前にいる生還者から証言を聞いているような空間を作り出すというもの。あらゆる想定質問を事前に生還者に問い、録音し、それを用いて「ヴァーチャル対話」までできるそうです。

一方、ドイツにある最大規模のホロコーストのアーカイブでは今月、220万人もの犠牲者と生還者に関する記録がオンラインで公開されました。 このアーカイブInternational Tracing Service(ITS)には、ナチ政権下の逮捕、移送、強制労働、死亡などに関する3,000万点もの記録が保管されています。 ドイツを含む11ヵ国の国際機関が運営していて、ユネスコの「世界の記憶」として登録されています。 これまでは個人情報に配慮して、犠牲者の家族等にのみ利用が限定されていましたが、オンラインで公開する意義について、アズレー所長は次のように話しています。 「体験者がいなくなったときに、これらの記録が彼らの代わりとなって、私たち、そして次の世代に語りかけてくれるようにすることがとても大切です」

記憶の保存も伝達手段も重層的に進化していますね。生身の人間から直接話を聞くことができなくなって、インスタやAIなどが歴史を伝達する手段となったとき、記憶はどんな風に形を変えていくのでしょう。

●インスタグラム Eva.stories投稿された動画はこちらから見ることができます。https://www.instagram.com/eva.stories/

●International Tracing Service(国際追跡サービス)

今回の資料のオンライン公開に合わせて、名称は"アーロルゼン・アーカイブ" (Arolsen Archives – International Center on Nazi Persecution)に変更。

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