映画『モルゲン、明日』を観て
こんにちは、Kokoro理事のハットリです。
先日、大磯の図書館で、ドキュメンタリー映画『モルゲン、明日』を観てきました。
フクシマ以後脱原発へと動きそれを実現させている今のドイツ市民の社会参画に対する意識が、第二次大戦後紆余曲折を経て時間をかけて醸成されてきたことが、持続可能なエネルギーという問題を切り口に丁寧に描かれていました。同じフクシマの惨事が、一方では原発推進派だったメルケル首相の考えを転換させ一国を脱原発へと向かわせ、もう一方の事故当事国では炉心溶融事故の検証もされないうちに政治家らをして再稼働へと駆り立てさらには原発の輸出まで目論見させそれをおかしいと思いながらも国民が許している。両者のこの差を生んでいるものはいったい何なのか???・・・日本の戦後処理とも大いに関連している問題だと思います。 映画のあと、この会を主催した「大磯エネシフト」のメンバー二人が登壇して、映画の中で取り上げられた2つの問題点につき話をされました。最初に登壇したのはドイツ文学の翻訳家の高田ゆみこ氏(原発事故を題材にした青少年向けの小説『みえない雲』の翻訳者)で、教育について話をされました。実際にドイツの学校で使われている歴史の教科書を開いて、教科書の分量の半分が20世紀以降のことを扱っていることを説明されました。続いて登壇したのは、上智大名誉教授の石川旺(さかえ)氏で、この方はメディア論がご専門で「市民運動とメディア」というテーマで日本のメディアの特徴をドイツのそれと対比させながらかいつまんでお話しされました。 50人ほどの小さな会でしたが、参加者の問題意識は高く、登壇後の意見交換も発言される方が相次いで、なかなか充実した会でした。記憶の文化が脱原発問題でも深くつながっていることはちょっとした驚きの気付きでしたし、新たな展望を見た思いでした。
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