映画「ゲッベルスと私」
映画「ゲッベルスと私」を観ました。ナチ宣伝相の秘書だった女性ポムゼルの証言と貴重なアーカイブ映像から構成されるドキュメンタリー。
103歳のポムゼルの肌に深く刻まれた皺が真っ暗な劇場にモノクロで浮かび上がり、目の前で独白を聴いているような臨場感がありました。
「自分は臆病だった」「抵抗する勇気はなかった」、嘘がなく感じられる言葉の合間に、「良心に対する言い訳」が垣間見え、自分自身と重ねて人間の弱さを考えさせられます。
ナチ党員になったのは「就職のためだった」・・・恐ろしいのは、そんな「普通の人」の感覚かもしれない。
ナチに抵抗するビラを配ったため処刑された学生グループ「白バラ」について語った場面も印象的でした。
「黙っていれば彼らは今も生きていた」。あんなビラをまいたりするから死刑になった、と。9月に学生たちとミュンヘンで「白バラ」の足跡をたどります。ポムゼルの言葉を考えながら歩いてきたいと思います。(石岡史子)
▶映画「ゲッベルスと私」岩波ホールにて公開中