学習例
道徳の授業 「助け合い」小学校高学年向け
鹿沼市立北小学校で毎年5年生たちと実践しています。
子どもたちの「気持ち」が揺れ動く授業です。
1時限目 お話「ハンナのかばん」(45分)
NPO法人ホロコースト教育資料センターKokoroの訪問授業
学年全体で合同の授業です。時間は45分。休憩時間を5分使って質疑応答を入れることもできます。
導入 (2 分)
スライド上映とお話
(35分)
ビデオとお話
(3 分)
スライド上映とお話
(5 分)
内容
■ お話の時代と舞台の紹介
「ハンナのかばん」 を見せながら。
■ 過去をふりかえる
- ハンナの生涯 ハンナの幸せな日々から、ユダヤ人迫害のはじまり、収容所での日々まで を写真で紹介する。一人の少女の 13 年の生涯を通して、ホロコーストの できごとを知る。
■ 現在につながる
- 日本にやってきた「ハンナのかばん」 半世紀後、家族でただ一人生きのびた兄ジョージさんと日本の子どもたち の出会いを紹介し、生きのびた命を見つめる。
■ 未来を考える
- 「なぜ起きたのか」
・「人を見かけで判断したり、うわさを信じてしまうことってある?」
・「(当時のドイツの社会背景を考えると) 貧しくて生活に困っていた人たち が不安や不満をだれかにぶつけたかったのかな?」
・「悪いことを人のせいにしてしまうことってある?」
・「自分さえよければいいと思うことある?」
■ 勇気ある行い
ホロコーストの中でユダヤ人を助けた人々の行いを紹介する
・ 「自分だったらどんなふうに行動するだろう」
授業のキーワード
・家族
・差別や偏見
・ 精一杯生きた兄妹の姿
・ 失われた一つの命
・ 未来につながる命
・ 人間の心の弱さ
・ 無関心と傍観
・ 自己中心
・ 勇気
・ 人を思いやる心
・ 行動する
2時限目 道徳授業「助け合い」をテーマに(45分)
クラス毎に担任の先生と授業
クラスにもどって、担任の先生と一緒に道徳授業です。話をふりかえりながら、
登場人物の気持ちを考え、自分の心の中にはどんな気持ちが芽生えるか、
言葉に表現して、共有してみます。
ハンナの幸せだったころ
(5分)
ナチスの迫害 (5分)
迫害の理由 (5分)
理由もない迫害 (5分)
なぜおきたのか? (5分)
抵抗できない人々や
抵抗する人々への共感
(5 分)
価値の葛藤 (10 分)
感想 (5 分)
ハンナは、ナチスがあらわれる前、どんな生活を送っていましたか?
・家族と幸せな毎日 - 父、母、兄ジョージ
・スケートが大好き
・犬のシルバ
・学校の先生になりたいという夢
・たくさんの友だち
ハンナに、どんなできごとが起きましたか?
・規則を作って行動が制限された(スケートができない、映画館に入れない、学校にいけない)
・ 黄色い星印をつけさせられた
・お母さんとお父さんと離れ離れになった
・収容所へ閉じ込めた
・ガス室で殺した
ハンナたちは、なぜそんなことをされたのですか?
・「ユダヤ人」だから
・「ユダヤ人」は悪事をたくらんでいたと思われていたから
ハンナたちに、いじめられる理由があったのでしょうか?
・ハンナの家族は町の人に親切だった
・友だちもたくさんいて、みんなと仲良しだった
・理由などない
理由もないのに、なぜナチスはハンナたちをいじめたのでしょう?
・不安や不満をぶつけた
・自分たちのほうが優れていると思った
・国がうまくいかないことを人のせいにした
・もしかしたら自分もいじめる側にたってしまうかもしれない
ユダヤ人たちが道路を磨かされている様子を、だまって見ていた人たちがたくさんいました。どんな気持ちで見ていたのでしょう。
・ざまあみろ
・ちゃんと磨け!
・かわいそう
・命令だから仕方ない。
ユダヤ人を助けたドイツ人もいました。どんな気持ちで助けたのでしょう。
・差別はまちがっている
・自分がされたら嫌だ
・見てみぬふりはできない
「助けたい」という考え方と、「助けてあげられないかもしれない」という考え方の二つがでましたね。皆さんの心には、きっと両方の考え方が思い浮かんだと思いますが、 それぞれの考え方について、自分はどう思うかを書いてみましょう。
では、まず、「助けたい」という考えについて、どう思いますか。
・自分もそうできるようになりたい
・自分も困っているときは助けてほしいから、助けるべきだ
・いざとなったら出来ないかも
次に「助けてあげられないかもしれない」という考えについて、どう思いますか。
・絶対に自分はそうなりたくない
・自分も、もしかしたらいっしょになっていじめてしまうかもしれない ・助けてあげたら、自分もいじめられるかもしれないからこわい
「どうしても分からない」、という意見もでましたね。ほかに方法はないか、考えてみましょう。
・友達に相談してみる
・ナチスはなぜユダヤ人をいじめるのか、理由を考えてみる
・いっしょに助けてあげられるような仲間を増やす努力をしてみる
今日の授業で感じたことを書いてください
ハンナのかばんにつめたい私の一言メッセージを書いてください
*話をふりかえる
登場人物の写真
禁止事項のリスト
(資料 25 ページ)
生活に困っている近所の人に食料や衣類を届けていたハンナ
当時の時代背景
*ハンナの気持ち想像しながら、差別による悲しみや怒りを考える
ワークシート①(26 ページ) 「助けるべきだ」と「助けてあげられないかもしれない」を分け、各自の中に価値葛藤を生み出す
協力してユダヤ人を守り、助けた例をふりかえる ワークシート②(26 ページ)